なかなか退職できない現実

 システムエンジニアの主な仕事はシステム開発ですが、その開発途中に退職しようとしてもなかなかできない苦労があります。責任的な問題で職場を離れるのにハードルが高いと感じる人もいますが、単純に別のエンジニアに開発途中のシステムについて詳細まで理解を促すのに大きな苦労があるのです。自分と同じレベルでいくつかの分野について知識を持っていて、技術的にも同等以上のスキルを持っているエンジニアが職場になかなかいないという場合が多いことが問題になります。

 たとえその要件を満たしていたとしても、考案したシステムについての理解力があまり高くないことも珍しくありません。自我が強いエンジニアも多いことから、自分の発想をうまく受け入れてもらえずに引き継ぎが難航することはよくあります。退職を思い立ってから何ヶ月もかかってようやく職場を去れる状況になった、という経験をするシステムエンジニアも少なくありません。

 システムは開発が終わってからもアフターサービスを必要とすることが多く、開発途中でなくともそれまで関わってきたシステムについての引き継ぎが必要です。勤めてきた企業で活躍してきたシステムエンジニアほど退職のときに引き継ぎの労力が大きくなる傾向があります。そのハードルの高さが気にかかってしまって退職を決断できないというケースもあるほどですが、計画的に資料を作成して引き継ぎをしやすくしておくとあまり時間をかけずに職場を去ることが可能です。